草加市 獨協大学前駅 松原団地 草加パートナーズ内科・糖尿病クリニック 甲状腺 副腎 下垂体 内分泌疾患

甲状腺

甲状腺について

一度は専門的な検査を

甲状腺疾患・副腎疾患・下垂体疾患など、ホルモン分泌の異常が起こる疾患(内分泌疾患)は、心臓病や糖尿病、更年期障害、うつ病など、別の病気と間違われることが少なくありません。そのため、内分泌疾患でないかどうかを確認するために、一度は専門的な検査をお受けになるよう、お勧めいたします。

甲状腺とは

甲状腺とは

甲状腺は、いわゆる「喉ぼとけ」(甲状腺軟骨先端)のすぐ下にある、重さ10~20g程度の小さな臓器で、蝶が羽根を広げたような形をしており、気管を取り囲むように位置しています。そして、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。

女性に多い甲状腺疾患

甲状腺疾患は、女性に多く見られます。ある調査では、健康と思われる40歳以上の成人女性を対象とした健診において、20%程度の高い頻度で何らかの甲状腺疾患が見つかったという報告があります。もちろん男性も甲状腺の病気にはなり得るのですが、圧倒的に女性のほうが多く、女性に特有の病気と言っても過言ではないでしょう。

甲状腺疾患の症状

甲状腺疾患の症状は、疲れやすい、むくみやすい、便秘がち、冷えなどの症状や、あるいは逆に動悸がする、イライラして落ち着かない、暑がりで汗をかきやすいなど、多くの女性が日々感じている症状が多いものです。
そのため、ご自身の判断で、「産後の疲れかな」とか「更年期だから仕方がない」とか「老いによるものだ」などと思い込んで諦めてしまっていたような方が、調べてみると実は甲状腺の病気だったというケースがしばしば見受けられます。

主な甲状腺疾患

甲状腺疾患は大きく下記の3つに分けられます。

  • 甲状腺ホルモンの量が変化する疾患
  • 甲状腺内に腫瘤ができてくる疾患
  • 上記両者の合併する疾患

甲状腺ホルモンの量が変化する疾患

甲状腺機能亢進症
バセドウ病*1、無痛性甲状腺炎*2、亜急性甲状腺炎*3など
甲状腺機能低下症
橋本病(慢性甲状腺炎)*4、粘液水腫、手術後甲状腺機能低下症、アイソトープ治療後など

*1バセドウ病 バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰につくられる病気、すなわち甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。バセドウ病では特殊な抗体がつくられ、これが甲状腺を刺激して、過剰に甲状腺ホルモンを分泌させてしまいます。
他の甲状腺疾患と同様に女性に多い病気ですが、その比率は、男性1人に対して女性4人ほどです。
バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰につくられるため新陳代謝が盛んになり、下記のように様々な症状を引き起こします。

  • 暑がり、疲れやすい、だるい
  • 目つきがきつい、眼球突出、複視、甲状腺腫大
  • イライラ感、落ち着かない、集中力の低下、不眠
  • 発汗、脱毛、痒み
  • 脱力感、筋力低下、骨粗鬆症、手足の震え
  • 動悸、頻脈、心房細動、心不全、むくみ、息切れ
  • コレステロール低下、血糖上昇、血圧上昇、肝障害 など

*2無痛性甲状腺炎 何らかの原因により甲状腺が破壊され、その中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出して、一過性の甲状腺機能亢進を呈する疾患です。甲状腺に痛みが生じないために、「無痛性」甲状腺炎と呼ばれます。
もとには橋本病があると考えられていますが、どのような仕組みで甲状腺が壊れてホルモンが漏れ出るのかについては明らかにされていません。時に、バセドウ病と区別することが難しいケースもあります。
症状としては、動悸、暑がり、体重減少などが、比較的短い期間に認められます。
しかし、バセドウ病では治療しないと甲状腺ホルモンの量が低下しないのと違って、無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進は一過性で、治療しなくてもやがては正常化し、通常は1〜2ヶ月で症状が無くなります。
動悸や手の震えなどの症状が強い場合は、対症療法としてβ遮断薬を使い、過労を避けるようにしながら、甲状腺ホルモンの量が低下するのを待ちます。

*3亜急性甲状腺炎 甲状腺に炎症が起こる病気です。全経過が2〜4ヶ月程度と、急性と慢性の中間くらいの期間なので、「亜急性」甲状腺炎と呼ばれます。
原因としては、ウイルスの感染が疑われていますが、まだ明らかにはされていません。
症状についてですが、甲状腺の辺りに痛みを覚えます。前駆症状として、風邪様の症状が出て、それから2〜3週間経ってから、急に発症します。
甲状腺は硬く腫れ、押すと痛みが生じます。痛みは、左右に移動することもあります。また、微熱から40℃近い高熱までの熱が出ることもあります。
甲状腺の破壊の程度が激しいと、甲状腺ホルモンが血液中に流れ出すので、甲状腺機能亢進症の症状、とりわけ倦怠感、動悸、手の震えなどが見られます。しかし、甲状腺に溜まっているホルモンはせいぜい1ヶ月分くらいのものなので、甲状腺機能亢進症の症状は、やがては自然に治まります。甲状腺機能亢進症後の一時期、機能低下症に変じてから正常化するケースもあります。
治療としては、対症療法的に、熱と痛みに対してはサリチル酸製剤を投与します。痛みがひどく重いような場合は、ステロイドを投与することもあります。動悸に対しては、β遮断薬を使ったりもします。

*4橋本病(慢性甲状腺炎) 橋本病は圧倒的に女性に多く見られ、甲状腺機能低下症の代表的な病気です。
甲状腺ホルモンの量が不足して、新陳代謝が低下し、全身が老けていくような症状がみられます。無気力になって頭の働きが鈍くなり、忘れっぽくなって、ひどくなると認知症の原因の1つにもなります。寒がりになり、皮膚も乾燥してカサカサになったり、体全体がむくみ、髪も抜け、眠気が伴い、ボーッとして活動的でなくなったりします。
甲状腺そのものの症状は、甲状腺の腫れです。ちょうど首の正面が腫れていて、硬く、表面がゴツゴツした感じになっています。
橋本病では、主に下記のような症状が現れます。

  • 寒がり、疲れやすい、動作が鈍い
  • 食欲低下、舌の肥大、便秘
  • 甲状腺腫大、喉の違和感、ボーッとしたような顔つき
  • 息切れ、むくみ、心肥大
  • 脱力感、筋力低下、肩こり、筋肉の疲れ
  • コレステロール上昇、肝障害、貧血
  • 月経不順、月経過多 など

甲状腺内に腫瘤ができる疾患

甲状腺良性腫瘍
腺腫様甲状腺腫、嚢胞、腺腫など
甲状腺悪性腫瘍
甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん)、悪性リンパ腫など
甲状腺にできた腫瘍がホルモンをつくり出し、甲状腺機能亢進を示す病気
プランマー病(甲状腺機能性結節)

――上記のような甲状腺の病気は、いずれもきちんと治療すれば治るケースがほとんどです。たとえ悪性腫瘍であっても、ほかのがん、例えば胃がんや肺がんなどと比べ、おとなしいタイプが多いので、悪性という診断が下りても落胆すべきではありません。
また、ホルモンの分泌異常で前記のような症状が出ても、内服薬、アイソトープ(放射性ヨウ素)、手術などでしっかり治療すれば、多くは何ら問題無く日常生活を送れるようになります。

こんな症状は受診をお勧めします

  • 首に腫れがある
  • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
  • 手指が細かく震える
  • 暑がりになり、水をよく飲み、汗をたくさんかく
  • よく食べているのに痩せてきた
  • イライラしやすくなった
  • 落ち着きがなくなった
  • 体が冷え、寒がりになった
  • 肌が乾燥し、カサカサする
  • 体が重く、だるさを感じる
  • 食欲が無いのに、太ってきた
  • 朝起きた時に、顔や手がむくんでいる
  • 便秘しやすくなった
  • 昼間も眠く、居眠りをするようになった
  • 脈がゆっくり静かになった
  • 月経不順になった など

副腎疾患

腎臓の上にある小さな内分泌臓器「副腎」のホルモン分泌異常によって発症します。
主な疾患には「原発性アルドステロン症」「アジソン病」「褐色細胞種」などがあります。

原発性アルドステロン症

副腎の腫瘍(大半は良性腺腫)や、両側の副腎全体が肥大する過形成によりアルドステロンというホルモンが過剰につくられてしまう病気です。アルドステロンは脱水を防ぎ、血液中の電解質バランスを調整しています。しかし、アルドステロンが過剰になると、尿をつくる臓器である腎臓において、塩分(ナトリウム)が尿に出づらくなって塩分が体内に貯留し、その結果、血液の中に塩分と水分が増加し、その血液を循環させるために、血圧が高くなります。高血圧患者の5~20%を占めると考えられています。治療としては、副腎の腫瘍を取り除く手術や薬物療法が行われます。

アジソン病

アルドステロン、コルチゾールなどのホルモンの分泌が、生体の必要量以下に慢性的に低下した状態です。症状としては、疲労感、筋力低下、筋肉痛、関節痛、嘔吐、腹痛、下痢、発汗、起立性低血圧、精神的な落ち込みなど、様々なものがあります。
治療は、不足するホルモンの補充です。副腎機能の回復は期待できないので、ホルモンの補充療法を生涯にわたって続けることになります。しかし、適切な治療が行われれば、予後は比較的良好で、症状の無い一生を過ごすことが可能です。

褐色細胞種

副腎髄質あるいは脊髄に沿った交感神経節細胞にできる腫瘍です。腫瘍からはカテコールアミンというホルモンが分泌され、このホルモンの作用によって様々な症状が現れてきます。代表的な症状は高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進、血糖の上昇などです。そのほか、動悸、痩せ、便秘、胸痛、視力障害などが起こることも、しばしばです。腫瘍の摘出が根本的な治療になります。

内分泌性高血圧

内臓のホルモン分泌異常によって起こるタイプの高血圧です。腎性高血圧(腎臓の病気が原因で起こる高血圧)に次いで頻度の高い二次性高血圧症です。
バセドウ病などの甲状腺機能亢進で生じるケースが多いのですが、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、副腎の病気でも起こってきます。
内分泌性高血圧は、血圧が上昇する原因が明らかであり、原因疾患を根本から治療できれば、完治あるいは軽減させることができます。

下垂体疾患

脳の中の「下垂体」という内分泌器官のホルモン分泌異常によって発症する疾患です。
主な疾患には「下垂体機能低下症」「先端巨大症」「プロラクチノーマ」などがあります。

下垂体機能低下症

下垂体とは、脳の下にぶら下がるようにしている小さな内分泌器官で、前葉と後葉の2つの部分から成ります。下垂体機能低下症とは、下垂体前葉ホルモンの一部またはすべてが何らかの理由で十分に分泌できなくなった状態です。分泌が低下したホルモンの種類により、症状はそれぞれ異なってきます。治療としては、原因となっている疾患(腫瘍、炎症など)があれば、その治療が行われます。そうした上で、下垂体ホルモン欠乏による症状に対して、欠乏しているホルモンの補充療法が行われます。

先端巨大症

額(ひたい)やあご、手足など体の先端部分が肥大する疾患です。多くのケースで、頭痛や高血圧、糖尿病、いびき、多汗などの症状を伴います。下垂体にできる良性の腫瘍により成長ホルモンが過剰に分泌されるのが原因です。治療としては、原因である下垂体の腫瘍を取り除く手術が一般的です。開頭せずに行う手術法が確立されており、安全性の高い手術が可能です。腫瘍が大きくて手術が難しい場合や、手術後もまだ血液中の成長ホルモン量が過剰な場合などには、薬物療法や放射線(ガンマナイフなど)による治療を行います。

プロラクチノーマ

下垂体の腫瘍です。下垂体からはいくつものホルモンが産生されており、プロラクチンもその一つです。プロラクチノーマとは、このプロラクチンを産生する細胞が増殖した腫瘍です。この腫瘍ができるとプロラクチンを過剰に産生するため、正常より何倍も多くのプロラクチンが血中を循環し、体の異常が起こります。プロラクチノーマの主な症状は、生理不順、無月経(生理が止まる)、乳汁漏出などです。放置すると、不妊や骨粗鬆症の原因になります。治療には、手術療法と薬物療法の二つがあります。