草加市 獨協大学前駅 松原団地 草加パートナーズ内科・糖尿病クリニック 1型糖尿病外来

1型糖尿病外来

1型糖尿病外来について

1型糖尿病患者さんへ

1型糖尿病患者さんへ

このページをご覧頂いている1型糖尿病患者さん、その御家族の方、当クリニックのホームページを見て頂きありがとうございます。
糖尿病の専門外来をやっていますと、多くの1型糖尿病患者さんとお会いします。1型糖尿病は生活習慣とは関係なく、ある日突然降り掛かってくる病気です。インスリンを作っている膵臓のβ細胞を、なぜか自分の免疫が壊してしまう事が原因と言われています。日本人おいては、おおよそ1年間に10万人当たり2〜3人発症し、10代の思春期の発症が最多と言われています。ただでさえ、多感な思春期に、ある日突然病が降り掛かり、しかも一生インスリン注射を打たなければならない・・・・そのような宣告を受ける事が多いのです。患者さんや御家族のショックは想像するに余りあります。
そのような経験をされたにも関わらず、1型の患者さんは、ほとんどの方が前向きで元気です。インスリンの調整については、下手すると糖尿病の専門医以上のコツをしっています。そういった1型の患者さんにお会いするたび、糖尿病のことに限らずこちらの方が勉強させられることが多いです。
ただ、1型糖尿病患者さんは、自分のインスリンがほぼ完全に枯渇してしまう事が多く、普通の糖尿病(2型糖尿病)でインスリンを打っている患者さんより、血糖管理が難しい事が多いです。インスリンが枯渇する事で、グルカゴンというホルモンの分泌も異常となり、いわゆる「不安定型糖尿病(ブリットル糖尿病)」となる事が多いのです。よって、1型糖尿病患者さんには、より高度の血糖管理が必要です。
当院としては、1型糖尿病患者さんの更に良質な血糖管理や生活の質の改善を目標に以下のことを取り入れています。

  1. 責任インスリン、インスリン効果値などの考え方に基づいたインスリン量の調整
  2. 希望者には、インスリンポンプ療法の開始
  3. カーボカウントの導入

もし、遠方の大学病院まで通院して大変だ、もしくは現在のコントロールがあまり良くないといった方は一度御相談ください。一緒に、あなたにふさわしい治療法を探していきましょう。

1型糖尿病とカーボカウントについて

一般的な糖尿病の食事療法は、食品交換表を使ったカロリー制限食がメインです。日本人の食習慣にそった栄養バランスのよい食事は栄養状態の改善や肥満の解消には有効です。ところが、食後血糖値に最も強く反映される炭水化物量が一定でない場合、特に1型糖尿病患者さんにおいては、血糖値の管理は不十分になる場合があります。
アメリカにおいて実施された1型糖尿病患者を対象としたDCCT研究では、食事療法として炭水化物摂取量を一定にする、あるいは炭水化物摂取量に応じて食前の速効型インスリンを調整するというカーボカウントが用いられ、良好な血糖値が達成されました。これを受けて、アメリカにおいてはカーボカウントは標準的な食事指導法として用いられています。
血糖値が不安定となっている1型糖尿病患者さんにおいては、部分的にでも積極的にカーボカウントの導入を考慮すべきと考えます。

基礎カーボカウントと応用カーボカウント

基礎カーボカウントとは、糖質摂取量を一定にすることで食後血糖を安定させることを目的とし、全ての糖尿病患者が適応となります。
応用カーボカウントとは、糖質摂取量に応じて投与インスリン量を変化させる強化インスリン療法中の糖尿病患者が適応になります。応用カーボカウントを習得することで、食後血糖の安定、低血糖の回避、何より食事の自由度が大幅に向上します。

1型糖尿病の血糖コントロールが難しい理由

刻々と変動する血糖値についていけない!

人間の一番のエネルギー源はブドウ糖(≒血糖値)です。よって、健常者(糖尿病でない方)の血糖値は様々な血糖値の変動要因があるにも関わらず、見事に70〜140mg/dLという狭い範囲に維持されています。血糖値を変動させる要因としては、インスリンはもちろん、インスリン拮抗ホルモン(グルカゴン、コルチゾールなどインスリンとは逆に血糖値を上げます)、性ホルモン、自律神経機能、食事や運動等の生活習慣など様々なものがあります。健常者においては、これらによる血糖変動があれば、速やかにインスリン分泌量を調整し常に上記の範囲に血糖値を保ちます。
1型糖尿病では、自分のインスリン分泌が枯渇してしまうため、健常者の生理的なインスリン分泌の再現を狙って、1日4回の頻回インスリン注射療法を行う事が多いです。ところが、おわかりのように4回の皮下注射ではそこまで細かなインスリン量の調整は難しく、やはり血糖値の変動が大きくなってしまう場合が多いのです。
1型糖尿病においては、なるべくこれらの外的変動の要因を少なくする(カーボカウントの導入や運動の工夫も含みます)必要もありますし、場合によっては追加でインスリンを注射するスライディングスケールが必要となることもあります。ただ、大切なのは血糖値が高くなってからインスリン注射を追加するのではなく、高血糖とならないために必要なインスリンを前もって予測して注射する事です。1型糖尿病患者さんは、様々な知識と経験を日々の血糖コントロールに生かしていく必要があるのです。

インスリンだけでなく、グルカゴンの分泌にも異常が!

1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が破壊されインスリン分泌が枯渇する病気です。しかし、同じく膵臓のα細胞からでるグルカゴンの分泌にも異常をきたします。グルカゴンは、体内で最も血糖値を上げる効果の強いホルモンであり、1型糖尿病では、適切なタイミングでこのグルカゴンを分泌できなくなるのです。血糖値を上げるホルモンですから、最も必要な場面は血糖値が低い時です。ところが、1型糖尿病においては、血糖値が低い時にタイミングよくグルカゴンの分泌がなされず、重症の低血糖を起こす事が多いと言われています。その理由としては、パラクリン効果というのですが、インスリンを出すβ細胞とグルカゴンを出すα細胞は隣接しており、インスリンが枯渇すると両者の間で上手く連絡がとれなくなると考えられています。このような低血糖を繰り返していると、重度の低血糖になるまで症状がでない「無自覚低血糖」になることもあります。低血糖と気づいた時には意識障害をきたすような危険な低血糖と言われています。尚、平成26年6月から、道路交通法の改正により無自覚低血糖を有する方は、運転免許の欠格事由に含まれたため、何としてでも無自覚低血糖とならないように日々の対策が重要となりました。

暁減少とソモジー効果

人間の体内では、起床後活動していくことに備え、成長ホルモンやコルチゾールなどのインスリン拮抗ホルモンの血中濃度が早朝4時頃から上昇します。これに対応して、インスリン分泌を増やせれば血糖値は上昇しません。1型糖尿病においては、基礎インスリンの補充として中間型や持効型インスリン注射がなされていますが、朝方に血中濃度が高まるインスリン拮抗ホルモンに対応できず早朝にかけて高血糖となる場合が多くなります。これを暁減少と言います。また、夜間3時頃というのは、生理的にも最も血糖値の低い時間帯です。基礎インスリンの注射量が多いと、この時間帯に低血糖を起こす事があり、それにおどろいた体が過剰に血糖値を上げようと努力し、早朝の高血糖をきたすことがあります。このような反跳性高血糖をソモジー効果と言います。
1型糖尿病患者さんで、早朝の高血糖があった場合、この両者を鑑別していく必要があります。そのために深夜3時に血糖測定してもらう場合もあります。

その他

インスリン注射を同じ場所に繰り返すと皮膚が硬くなったり皮下にしこりができてインスリンの吸収が悪くなったりする場合があります。また注射したインスリンに対する抗体ができて、血糖不安定の原因となる事があります。女性では月経前に高血糖となる方もいます。スポーツのに際しては、運動中、運動後も低血糖を起こすことがあります。これら様々なことが1型糖尿病の血糖不安定の原因となりますので、定期の診察時に患者さんと主治医の間でその原因を議論し突き止め、対応していく必要があるのです。